サン電子の経営陣は過去の経営判断を誤ったと弊社は評価しています。
セレブライト社の株式を大幅なディスカウントで売却について、セレブライト社上場の2年前(2019年)、イスラエル・グロース・パートナーズ(以下「IGP」といいます。)はセレブライト社に1億1000万ドルを出資、同社の株式25%を取得し、約3億3000万ドルと評価していました。セレブライト社の資料によると、2019年度の年間売上高は1億7200万ドルでした。これは、IGPのセレブライト社への投資が、売上高の2倍という著しく低い株価売上高倍率の評価で行われたことを示しています。そして、僅か2年後の2021年にセレブライト社が上場した際の評価額は23億ドルで、これは株価売上高倍率が9.3倍であることを示しています。現在、セレブライト社は株価売上高倍率6.3倍で取引されています。IGPはセレブライト社への投資で大きな利益を得ました。株価売上高倍率2倍で株式を取得し、2年後に9.3倍で売却したのです。
中核事業は減収傾向にあります。サン電子の経営陣は、中核事業であるエレクトロニクス・エンターテインメント事業とIT事業を通じて株主に収益成長をもたらすことに苦心してきました。セレブライト社の業績を除けば、2014年から2023年までの売上高は年平均7.75%の割合で減収となっており、148億円から82億円に減少しています。
不適切なキャピタルアロケーションについて、2023年12月現在、サン電子の総資産の約75%は現金及び預金、金銭の信託、並びに投資有価証券で構成されています(なお、セレブライト社株式は含まれていません。)。2021年のセレブライト社上場に伴う株式売却後、サン電子は推定2億1,000万ドルの現金(税引き前)を受け取ったとみられます。サン電子はこの売却手取金の約10%のみを自社株買いを通じて株主に還元し、発行済株式総数の6.25%を取得しましたが、残りは現金と投資として積み上がりました。サン電子の業績見通しによれば、中核事業は2023年度には黒字化する見込みであり、これほど多額の遊休資本を保有する必要はありません。株主価値の最大化を念頭に置いた資本戦略を採用するのであれば、前出の大半を株主に分配することになります。弊社は、株主として、サン電子経営陣が現金や投資有価証券を保有し続けるのであれば、サン電子経営陣は必要ないと考えます。
不十分な情報開示-透明性の欠如について、サン電子の経営陣は、セレブライト社株式の保有に関する意向を一切明らかにしていません。2023年11月28日に開催された決算説明会(22分19秒以降)では、代表取締役の木村氏がセレブライト社株式に関する質問について、セレブライト社株式を売却・追加取得する計画はないと回答しました。また、サン電子は大株主としてセレブライト社の独自技術の流出を防ぐ必要があり、セレブライト社の製品の販売を拡大する考えであると述べました。弊社は、セレブライト社の製品を日本で再販売するために、なぜサン電子が1,690億円ものCLBT株を保有する必要があるのか理解できません。
サン電子の株価が本質的価値に対して54%のディスカウントで取引されているという事実は、投資家が経営陣の意図や株主価値を創造する能力を信じていないということを示唆しています。